年々増える「不登校」の子どもたち。心理職である筆者にも相談がたくさん寄せられます。プライベートでも多く相談されます。反対意見を承知で、私が綺麗事抜きで考えることをお伝えします。
「不登校」の話題がすぐに炎上してしまう社会の問題
どこかの知事が「不登校は親のせい!」と言ったことで謝罪をするハメになりました。私としては1つの意見として尊重すべきだと思います。多かれ少なかれ、家庭環境の影響からは目を逸らせません。もう1つ問題なのは「社会の風潮」の変化です。
生き方の多様性ですまされる社会
「辛いなら無理に行かなくても良い」
「自分の生き方は自由に選べばいい。」
「あなたには無限の可能性があり、現代社会では選択肢も多い。」
と言う大人が増えました。本人の負担になるような登校刺激もやめようということになっています。ただ、「不登校」になってしまった子の将来が薔薇色になるケースは少ないことは誰しも気づいていることです。テレビで再び登校できるようになったり、大人になってビジネスチャンスを掴んでいる方が紹介され、それに希望を持ちたいところですが、そんなレアケースを信じて受け身で考えているようではとっても無責任な発言です。
親の疲労感を労わなければいけない社会
教育費の大金、老後への不安、貧困家庭。
お金に余裕がなく、共働きが当たり前になっている社会では、仕事>子育。
忙しい朝に子供の「不登校」にかまっている暇はありません。「不登校」の悩みで親が潰れず、家族が崩壊しないようにするには、家庭をそっとしておくことが1番。学校も親御さんに負担を強いることはできません。つまり、子供よりも親が大切にされているということ。
お母さんだけでスクールカウンセラーに会うケースも多く、涙ながらに気持ちを話し終了。子供の現状は何も変わっていないのですが、まるで支援が継続されているように感じられます。
親御さんフォローを第1にすると子供への直接的アプローチは減っていきますよね。
昭和、平成と学校を我慢してきた大人たちの社会
昭和の小学校は今と比べて大変でした。先生からも先輩からも上から押さえつけられ、愛のムチという暴力もあり、スマホもなく、ゲーム人口も少なく、余暇の選択肢も少なく、悶々とする反抗心を胸に秘めていた方も多かったと思います。そのため、日本の教育現場そのものが嫌いな大人が非常に多いのです。政府がコロコロ変える教育システムで生産される若者にも辟易していたりする今の子育て世代は、政治家そのものが嫌いだったり、日本の教育が諸外国に比べて劣ってみえるので、「そんなところ行かんでよろしい!」という考えにつながりがちです。これに「不登校」の子供の親御さんは少し励まされます。
ただ、気をつけて欲しいのは、「ちゃんと学校に行っている子供の方が多いのが現状」であることです。「無理に学校なんて行かなくてもいい!」と言う人も、本当は自分の子供は別なんです。そんな無責任な発言が大多数を占め、アンチ学校の世論を作っている社会。
また、今の子育て世代は「自殺問題」がかなり大きく取り上げられるようになった時代を生きました。「いじめ」=自殺の可能性=家庭という逃げ場の重要性 という考え方も増えました。もちろんそうですが、「いじめ」が理由の不登校の子は少なくなりました。
私が「不登校」の子供をもつ親御さんに言いたいこと
不登校の子供をもつ友人とのやりとりで、私が喉まで出かかってなかなか言えないことがあります。
あなたの子供にはあなた以外の誰も責任をとりません
担任、養護教諭、学年主任、教頭、校長、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育委員会、ドクター。「不登校」になった子供の周囲には色々な専門職種が入り乱れます。みんな一生懸命関わってくれていますが、チームとして機能している例は少ない印象です。専門職の、集まれる時間、権限、意見もバラバラでなかなかうまくいきません。加えて、最近の傾向として「待つ」スタイルを貫くという関わり方が一般的になったので、みんなが「待つ」という、何もしていない(できない)硬直状態に入ってしまうのです。
1つ言えることは、専門職に責任はありません。
学年が上がれば、メンバーも変わり、子供も保護者も会ったことのない大人たちに総入れ替えがあります。そうなると学校との距離はどんどん遠くなります。私立だと学校側が転校させてホッとする話も聞きます。「いじめ」などではない限り、学校にとっては動きようもありません。責任は保護者にあります。
任せていても事態は動かないと思ってください。
専門職はそれぞれアドバイスはしますが、状態を動かせるのは親御さんだけだと思って下さい。
あなたが現状に甘んじていては変わりません
無理に学校に行かせなくてもいいという意見のもと、朝の促しをしなくなれば、親子ともにイライラしなくて済みます。「不登校」の生活が穏やかになり、慣れてくると、「このまま受け入れればいつか行くんだろう」と、親心が軽くなります。「とにかく受け入れてあげて下さい」のアドバイス通りですし。
はたして、登校のきっかけは来るのでしょうか?
私は「受け入れてあげて下さい」に違和感を覚えています。「受け入れる」の意味が十分に伝わっていないと思うからです。家の中でストレスなく過ごしている我が子を見守っていることは「受け入れる」ことではありません。
家にいながら子供が変わってくれるのを待つなんて、子供への責任転嫁です。
あなたが疲労困憊しながら笑顔で接し続けても何も変わりません
「優しく受け入れてあげて下さい」
「学校に行くべきだという価値観は捨てて下さい」
「子供に親の考えを押し付けないで下さい」
と言われます。もちろん、学校で何か嫌なことがあったのか、友達にいじめられたのか、先生が怖いのかと考えると行かせたくありませんよね。専門家と話した結果、これまで「なんで行かないの!」と怒ってきたことを反省し、今度は甘えさせてあげたいと思う親御さんがほとんどです。でも、あなたが無理をして笑顔を作っていても、はたらきかけないと状況は変わりません。
学校に行かないことをニコニコ許してくれる両親。家は楽ちん。
この先、ストレスだらけの大海原に漕ぎ出すきっかけなんてあるでしょうか?
続きは「不登校の子供を持つ親が考えるべきこと」⇩(10月中に配信予定)