近年、「多様性」という言葉が出てきて、人間の凸凹全て認めて、受容し合うことがごく当たり前になる世の中にしましょうという流れになっています。まだ表面上は。そんな中、でもやっぱり気になるでしょ・・・というわけで、やっぱり気になる「身長」についての記事です。「平均身長」って何?
日本の平均身長の推移
みなさんご存知の通り、我が国「日本」の平均身長は、国際レベルでは中の下の下くらいか。
(じつはそんなにめちゃくちゃ低いわけではないんですよ。大きな国は目立つけど。)
それに、戦後からどんどん変化する栄養面や生活スタイルのおかげで、ここ80年くらいで10センチ以上も伸びているんです。
反面、文科省は「男女ともに、1995年度ごろまで平均身長が伸びる傾向がみられたが、1994年度から2001年度あたりをピークにその後は横ばい傾向にある。」とはっきりと発表しているくらい、ここ10年近くは横ばいのまま。それも、最近は平均身長が少しずつ低くなってきているのではないかという悲しい事実が囁かれるようになっているのが現状です。
<男子>
<女子>
※ 体重も同じ感じ。(学校保健統計調査30年度版より)
もう少し詳しく知りたい方はこちらもどうぞ
e-Stat 「日本の統計が閲覧できる政府統計ポータルサイト」
↑このサイト、なかなか興味深い。
ちなみに世界基準をグラフにしたものはこちら。
(と思ったけれど、新しい統計データが見つからなかった 😥 )
小学生の平均身長はどうやってだしているの?
親が気になるのはやっぱり平均との比較。クラスの体操順が真ん中より前か後かと言った話題がでます。では平均ってどのようにだしているのでしょうか?案外ずさんでびっくりしますよ。
文科省の「学校保健統計調査」
文部科学省は毎年「学校保健統計調査の手引」を都道府県に配布し、政府統計を行っています。
平成31年度版から抜粋したチェックポイント
◉「調査の対象は,調査実施校に在籍する満5歳から 17 歳(平成 31 年4月1日現在)までの幼児, 児童及び生徒の一部とし,その選定方法は別に定めます。」※「調査実施校」とは「文部科学大臣があらかじめ指定する学校」となっていて、おそらくランダム。
◉「学校保健安全法により4月から6月に実施される健康診断等の結果に基づき,次の調査を実施します。」
ということは
① 全員の平均ではない。
無作為に選ばれた学校の子供(全体の5%)だけである。
まとめるのが大変だから、学校現場の負担をできるだけ軽くしたいのだと思う。
苦情出ちゃうから。
② 年齢別ではない。
大体の学校で「発育測定」は4月に行うところが多いので、4月生まれと3月生まれの子供は、1年近く年齢が違っている!年齢を満年齢で考えるなら、本当は誕生日に測った身長で平均を出すのが純粋なデータなわけです。
※17〜18歳のデータはもう伸びきった後だということで、信頼に値するかと思います。
つまり、成長曲線の信憑性を私は1人で疑っているわけです。
加筆修正(令和2年7月):満年齢で出しているようです。3月生まれの子の年齢に合わせるので、4月に測った身長は前の年齢の身長にしているようです。例えば、小学1年生の7歳の平均は小学2年生の4月のもので出している。
ちなみにこちらは月単位で載っています(どうやって算出しているのかは不明だけど)
→ 「スクスクのっぽくん」子供の年齢別平均身長
都道府県によって「平均身長」は違う
全国と東京都を比べてみましょう。
東京都が全国平均と比べているデータです。(平成31年度版 東京都のホームページより)
東京は全体的に平均が高い傾向があります。
0.5〜 1 ㎝近く違うことが分かります。
ただ都道府県別で同じ人数になるように調整が行われているとは考えにくいので、県別比較データさえあてになりません。
さらに言うと、「学校保健統計調査」によると抽出率は 全体のたった 5%です 。
95%は無視されたデータなんです!
5%のデータで日本の平均だしちゃってるわ
現在、出回っている成長曲線は本当はもう古い!
成長曲線に一喜一憂するようになった頃から、どうして出産時に配られた母子手帳の成長曲線をみているのか・・・と突然疑問が湧きました。あれから10年も経っているのに。
そこで息子(9歳前後)の伸びを比較したところ、やっぱり差がみられました。
8歳 125.3cm→128.1cm
9歳 130.9cm→133.7cm
10歳 136.4 cm→138.8cm
11歳 142.2cm→145.2cm
2〜3センチも違っていました。
近年の子供は成長が速めなので、曲線は以前より急傾斜です。
私も利用している「すくすく成長曲線」という可愛らしいくまさんのアプリがあるんですが、実際は結構な「差」がありますので、SDを見るときはご注意下さい。
グラフは使いやすいので愛用しています。
お子さんの伸び率などを全国と比較したい方は↓
平成30年度 学校保健統計(学校保健統計調査報告書)の公表について(平成31年3月25日発表)
まとめ
不安を煽るつもりはないのですが、子供の身長に楽観視はしない方が良いと思っていますので、途中から力が入り(笑)こんな記事になりました。
成長ホルモン治療の小児の医療費助成制度の対象となるSDも古いデータのまま。日本小児内分泌学会で使われているデータも低めです。
我が家のの身長計の平均テープは、ここ3年のデータで貼ってあります。
凹みますがこれが現実・・・