人は多面体です。
色々な面が組み合わさってできており、それらが向き合って、自分の1面と相手の1面の向き合わせで相互作用を生み出します。
だから人はおそらく相手の1つの面しか知り得ないのです。(家族や恋人は別にしてですが)
今回子供の好きな「名探偵コナン」の内容が、相手の男性の好みの女性を演じることで近づき、殺人を繰り返していく内容だったらしく、息子が興味をもち話しているうちにこの記事が浮かびました。(子供のアニメでも人間の醜い部分が浮き彫りにされていて「あちゃー」と感心してしまう私です)
「木嶋佳苗」という人
4人(本当は6人とも言われている)の男性を自殺にみせかけて殺した容疑がかかり、他にもたくさんの男性からお金を搾り取った、あのなんとも形容しがたい女性です。
彼女はどのように詐欺&殺人ができたのか。
それもですよ。彼女は取材の為に何度か面会した記者と獄中結婚しているんです。
ミイラ取りをミイラにさせる、本当の魔性の女!
なんとも魅力的な女性らしいんです。
きっと女性として超魅力的な面を持っていて、それを前面にしておけば男性としてはなんとも幸せな気持ちになれるのではないでしょうか。
目の前にいる男性からしたら、彼女は「聖女」(NHKで広末涼子が演じたドラマのタイトルー結構面白かったー)。それだけです。
殺人犯
以前勤めていた精神病院で、過去に人を殺した人と面会をする機会がありました。
2人きりで狭い個室でやりとりをするので、「何かあったらこの非常のボタンを押して下さい」と病院側から念を押されました。
成人男性だし、力では負けますし、気が狂ったように人を殺したらしい人物。
ドキドキした仕事でしたが、実際は拍子抜け。
薬漬けなのもあるかと思いますが、実際に入室してきた男性は、
至って真面目そうで腰が低く、物腰も柔らかい。
大変恐縮していて、なんだか「不憫」に感じてしまったくらいです。
こんな表現は変かもしれませんが「とてもいい人」でした。
そう。
私と彼は、私の職人の面と、彼の常識のある人間の面が向かい合っただけだからです。
そこには安全で安心な相互作用のみがありました。
友人たち
2人の友人がすごく嫌い合っているのです。
私は2人ともすごく好きだし、話も合う。
それなのに2人とも私にそれぞれの嫌な面を挙げて相談してくるのです。
「そりゃ確かにひどいわ」と心の中でそれぞれ思ったりします。
でもそれは向き合っている面が違うだけの問題です。
私はたまたまにせよ、それぞれのいい面と向き合っているからそれでいいんです。
2人にもそう言っています。
蜘蛛の糸
私がよく思い出すエピソードとしては、
芥川作品の「蜘蛛の糸」。
悪さばかりの主人公が「蜘蛛」を生かしました。
優しい面をみせたため、「蜘蛛」にとってはいい人だった。
それが「踏まれなかった蜘蛛」にとっての真実。
まとめると・・・
あちらではいい人だけれど、こちらでは嫌われ者。
あの人には気に入られているけれど、この人には鼻持ちならない人と思われている。
あちらでは品行方正、こちらでは殺人鬼。
誰にでもいい人の面があってそれを前面に出しさえすれば人は何とでもなります。
本性とか本性じゃないとかそういう問題ではなく、
私と向き合っているその面が私にとって相手の真実だから。
よく「化けの皮が剥がれる」とか言われますが、それは多面体が転がったんだと私は思います。
決して面が重なっているわけではない。
人にはたくさんの面があることを自分を介して誰もが知っていることでしょう。
あの人にはどの面が最適であるかを考えて転がります。
時々間違えますが。
さらに、私たちは相手の多面体のすべての面を知る必要は全くありません。
良い面(自分にとって都合のよい面)だけをみて付き合っていくことになんら悪いことはありません。
目の前のそれが真実だからです。
裏側の面なんて自分から回り込んで見にいくことはやめましょう。
最後に
このままでは倫理に反しますので最後にまとめると、
「木嶋佳苗」は犯罪者です。
美しい面だけではなく、醜い面を前面にだしてしまったから。
男性が魅了されて、お金を出してしまうまでは犯罪だとは思いません。
(後付けで詐欺だと言われてもあくまで男性は喜んでお金をだしたと思うので)
ただ「殺しを考える女」の面を正面に転がってはいけなかった。。。
今日も日々、世界ではコロコロと転がる音がしませんか?
自分らしさが人に見せられる面である人は、面がどんどん少なくなって転がりにくいので、疲れませんね。
直線になれたら最高です。色即是空。空即是色。
以上です。
ではまたね。